2021/01/28

自動改札機の普及と進化について

■自動改札機を製造しているメーカー

国内で自動改札機を製造しているメーカーはそれほど多くはありません。
主なメーカーとしては、JR線の自動改札機に特化しているJR東日本メカトロニクスとJR西日本テクシア、宇都宮事業所で製造をしている日本信号、関連会社と共に事業を展開している東芝などがありますが、自動改札機の歴史を主導してきたメーカーとして一番に名前が挙がるのはオムロンです。
オムロンは1933年に立石電機として創業しましたが、その立石電機が1967年に阪急千里線北千里駅で導入された世界初の自動改札機の開発を主導したことはメディアなどでも取り上げられて、広く知られています。
当初は定期券乗車にはパンチカード方式、普通券乗車にはバーコード方式を採用するなど改札方式は異なっていましたが、その後磁気化方式に統一されるようになりました。
オムロンは社名を変更した現在も駅務関係の自動改札機分野における国内最大手メーカーとして、日本だけではなく、世界各国に向けた開発と導入を続けていて、その功績は非常に大きなものです。
さらに、ユーザビリティの改善により、利用者にとってストレスがかからない次世代改札機のデザイン設計にも積極的に取り組んでいて、グッドデザイン賞受賞など高い評価を受けています。

■自動改札機の価格について

都市圏を中心に人口が多い地域では早い時期から急速に普及していった自動改札機ですが、日本でも西日本の一部の地域などではいまだに自動改札機が設置されていません。
こうした地域が自動改札機を取り入れることができない要因の一つとして、自動改札機の導入コストが高額であることが挙げられます。
自動改札機の本体価格は一般的なもので約700万、多機能な機種では1,000万を超えることもあると言われていて、ニーズの少ない地域での導入が見送られてしまうケースが発生しているのです。
また、自動改札機を設置するためには、本体の価格だけではなく、メンテナンスなどの費用や更新時に再びかかる導入コストなども見据えなくてはいけません。
特に電子マネーに対応する自動改札機を導入するためにはより高額な費用が発生することから、最近では列車内にIC改札機を設置することで、導入コストを低く抑えるエリアも広がってきています。

■自動改札機の導入施設の広がり

自動改札機と聞いて、多くの人がまず思い浮かべるのは駅の改札口でしょう。
しかし、現在は鉄道の駅にとどまらず、さまざまな施設で自動改札のシステムが活用されていて、その性能も日々進化しています。
乗り物では、鉄道以外にも、飛行機の搭乗ゲートをはじめ、モノレールやロープウェイなどの改札口にも取り入れられていて、改札と集札の役割を担っています。
短時間に大勢の人が入場するレジャー施設でも入場時の混雑を緩和させることや人々の流れを円滑にする目的で自動改札機が早くから導入されていて、ディズニーランドやUSJなどの大規模テーマパークでは大量の自動改札機がずらりと並んでいる光景が有名です。
そのほかにも、水族館、映画館、博物館、美術館、温水プールなどのスポーツ施設といった幅広い分野の施設で、今では当たり前のように自動改札システムを見かけるようになっています。
不正な入場の防止、人件費の削減、集客数の把握やマーケティングなどにもつながり、ビジネス面でも欠かせない存在となっているのです。
また、自動改札機の通路の幅は、施設ごとの特性や利便性などを考慮して設置されているのが一般的です。
空港や空港直結駅などに設置されている自動改札機では、スーツケースを持った人が通りやすいように幅が広いスタイルが採用されています。
高齢化社会などを背景としたバリアフリーのニーズにも応じていて、車椅子のままで通り抜けることができるワイドタイプの自動改札機の数も増えてきています。

■自動改札機の種類

普段利用しているときにはあまり気付かない人も多いかもしれませんが、自動改札機にはゲートの形状やシステムの違いなどによってさまざまなタイプのものがあり、その種類は膨大なものです。
ゲートごとの違いにおいては、大きく分類すると3つのタイプに分かれます。
鉄道の改札口でよく見かける自動改札ゲートはフラップドア型とよばれるもので、乗車券に精算が必要なときや入場が記録されていないICカードをかざしたときなどにパタっと閉まって、入場を阻むことができるようになっているのです。
また、テーマパークなどでよく見かける金属製の棒を回転しながら入場していくタイプはターンスタイル型と呼ばれ、一人ずつの入場をしっかりと管理することができる利点があります。
さらに、ターンスタイル型とフラップドア型の間を取った形状になっているものがリトラクタブル型です。
人が挟まれてしまったり、完全に動けなくなってしまったりするリスクがなく、安全性の面で一番優れているのはフラップドア型で、汎用性も高くなっています。
妊娠中の人や高齢者などでもにも安心して利用できる体に優しい設計となっていますが、一方で悪用しようとする人がゲートを力づくで抜けてしまうリスクはあります。
自動改札機は、使用するメディアの違いで区分することも可能です。
磁気切符を直接改札機に通すタイプの磁気カード用の自動改札機では、投入した切符などに印字やパンチができるようになっています。
複数の磁気カードを同時に投入することのできる複数対応型改札機もあり、新幹線の改札口や定期券と回数券を組み合わせて乗車する地域で設置されているのを見かけることができます。
また、近年ICカードの普及に伴って数を増やしているのが、ICカード専用の自動改札機です。
磁気カード用の自動改札機と比較して、データ処理のスピードが早く、セキュリティ面も優れているほか、非接触型のため耐久性が高いことも大きなメリットとなっています。

■自動改札機から決済用改札機への進化

利用価値が高まり、日々進化し続けている自動改札機ですが、最近ではさらなる可能性を追求するべく、暮らしの中でニーズが高まっているクレジットカードのタッチ決済を改札システムに取り入れようという流れもすでに始まっています。
2021年春には、南海電鉄の一部の駅で実証実験がスタートすることになっていて、Visaカードのタッチ決済に対応できる決済用改札機が設置される予定です。
決済用改札機が普及することで、利用者は日常的に使っているクレジットカードで直接駅の改札口の入出場をすることができるようになり、ショッピングと移動を1枚のカードで完結できる利便性を手に入れられます。
それと同時に、QRコードによる入出場にも対応させられる機能を改札機に搭載することで、事前にアプリやサイトから購入した乗車券のQRコードをスマートフォンに表示させて改札機にかざすだけで、入場と決済を瞬時に完了することが可能となるのです。
乗車券の購入などを難しいと感じるインバウンド旅客などがクレジットカード1枚を持っているだけで鉄道にも直接入出場できることや非接触がスタンダードとなるアフターコロナの生活を見据えた新たな試みとして、今後の展開が非常に注目されています。